2015年3月1日(土)開催の尼崎市保健所の講演ではたくさんの質問をいただきました。
時間がなくて講演中にはお答えできなかった質問に、お答えしていきます。
【注意】-------------------------------------
ここでお答えする内容は、すべて私(しーた)の経験をベースにして考えた回答です。すべての発達障害の人に当てはまるとは限りませんので、その点はご了承ください。
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Q3
娘は英語が得意で短大まで行ったのですが、もともと高機能広汎性発達障害(アスペルガーもあり)を持っていて、人の視線が超苦手で大学生活になじめず、すぐに退学しました。それからひきこもりで、4年目に入ります。
家では潔癖症で、私にもいろんなことを強要します。なるべく娘の気が済むようにしていますが、時々疲れます。
娘の要求を全部飲んだ方がいいのでしょうか?
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しーたの回答
実際に、ご本人にも質問者様にも直接にお話をしたわけではないので、断定的なことは言えませんが、この質問から得たの印象から、私が感じたことをお答えしますね。
まず、「要求を呑むか否か」というレベルで考えている限りは、問題は解決に向かわないように感じます。
「なるべく娘の気が済むように」とおっしゃっているところからも、おそらくお嬢さんの顔色を見て過ごされているのではないでしょうか。実は、その態度こそが、お嬢さんの苛立ちを募らせているのかもしれません。
これは私自身の体験なのですが、実は、自分自身がうまくいかず自己否定的な感情に支配されている状態の時に、周囲の人から腫れ物に触るような態度をとられると、「そのような気遣いをされなくてはいけない自分」が情けなくて、余計にプライドを傷つけられてしまうのです。
また、とにかく怒らせると面倒だから…という感情が透けて見えるので、本人にとっては「自分に正面から向き合ってもらえていない」という強い孤立感、そして、不信感を強めてしまうことにもなります。
このような感情の動きについては、自己肯定感が著しく低下した経験のある人でなければ、想像しにくいでしょうし、理解しづらい感情だと思います。
「表面を繕ったご機嫌伺い」は、どんなに質問者様が隠しているつもりであっても、はっきりとお嬢さんは感じ取っていると思います。
「顔色を窺われている」ということ自体にプライドが傷つき、苛立ちを感じます。その怒りを相手にぶつける…と、さらに相手は卑屈な表情で引きつり笑いをしながらびくびくとした態度で接する。それを見てさらに苛立ちが募り…という悪循環に陥って抜け出せなくなってしまいます。
もし、今、質問者様が「怒らせると面倒だから」「言うこと聞かないと怖いから」という理由で、「事なかれ」を第一にしてお嬢さんに接しておられるのであれば、どれだけお嬢さんの要求を呑もうとも、今の状況は変わらないように思います。
まずは、この質問者様が、お嬢さんに正面から向き合う気持ちを持つことが、一番重要だと思います。
このような精神状態にある人からは、非常識なほどのネガティブな発言がどんどんと発せられがちです。(私も、休職して引きこもっていた時に、そのような状態でした。)
聴いている人のほうが理解できず、受け止めきれなくて、疲弊してしまうことがあります。
けれど、実は話される内容そのもののは、あまり重要ではありません。
本当にわかってほしいことは、
「こんな非常識なネガティブな発言がしたくなるほどに、私は苦しんでいるの!」
というただ一点なのです。
どうしても、周囲の人は発せられた言葉の内容に気を取られて、「そんなことを…」と理解しがたくて否定したり、諭したりしてしまいがちですが、本当の問題はそこではないのです。
本当に伝えたいことは、
「私は、これほどまでに、苦しんでいるの!」
ということなのです。
そこに気付いてほしいのです。
どんなにお嬢さんの要求に対応したとしても、この一番大切な部分に気付かなければ、いつまでも同じことが続くだけです。
一つ一つの要求や行動そのものよりも、
そういう行動に出ざるを得ないほどに、
お嬢さんが、どれほどに苦しんでいるのか
ということに、フォーカスをあてて、お嬢さんをよく見てあげてください。
きっと、大切な解決へのヒントが見えてくると思います。
そして、それができるのは、あなたしかいないのですから。
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まだまだ、質問がありますが、少しずつ回答していきますね。
時間がなくて講演中にはお答えできなかった質問に、お答えしていきます。
【注意】-------------------------------------
ここでお答えする内容は、すべて私(しーた)の経験をベースにして考えた回答です。すべての発達障害の人に当てはまるとは限りませんので、その点はご了承ください。
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Q3
娘は英語が得意で短大まで行ったのですが、もともと高機能広汎性発達障害(アスペルガーもあり)を持っていて、人の視線が超苦手で大学生活になじめず、すぐに退学しました。それからひきこもりで、4年目に入ります。
家では潔癖症で、私にもいろんなことを強要します。なるべく娘の気が済むようにしていますが、時々疲れます。
娘の要求を全部飲んだ方がいいのでしょうか?

しーたの回答
実際に、ご本人にも質問者様にも直接にお話をしたわけではないので、断定的なことは言えませんが、この質問から得たの印象から、私が感じたことをお答えしますね。
まず、「要求を呑むか否か」というレベルで考えている限りは、問題は解決に向かわないように感じます。
「なるべく娘の気が済むように」とおっしゃっているところからも、おそらくお嬢さんの顔色を見て過ごされているのではないでしょうか。実は、その態度こそが、お嬢さんの苛立ちを募らせているのかもしれません。
これは私自身の体験なのですが、実は、自分自身がうまくいかず自己否定的な感情に支配されている状態の時に、周囲の人から腫れ物に触るような態度をとられると、「そのような気遣いをされなくてはいけない自分」が情けなくて、余計にプライドを傷つけられてしまうのです。
また、とにかく怒らせると面倒だから…という感情が透けて見えるので、本人にとっては「自分に正面から向き合ってもらえていない」という強い孤立感、そして、不信感を強めてしまうことにもなります。
このような感情の動きについては、自己肯定感が著しく低下した経験のある人でなければ、想像しにくいでしょうし、理解しづらい感情だと思います。
「表面を繕ったご機嫌伺い」は、どんなに質問者様が隠しているつもりであっても、はっきりとお嬢さんは感じ取っていると思います。
「顔色を窺われている」ということ自体にプライドが傷つき、苛立ちを感じます。その怒りを相手にぶつける…と、さらに相手は卑屈な表情で引きつり笑いをしながらびくびくとした態度で接する。それを見てさらに苛立ちが募り…という悪循環に陥って抜け出せなくなってしまいます。
もし、今、質問者様が「怒らせると面倒だから」「言うこと聞かないと怖いから」という理由で、「事なかれ」を第一にしてお嬢さんに接しておられるのであれば、どれだけお嬢さんの要求を呑もうとも、今の状況は変わらないように思います。
まずは、この質問者様が、お嬢さんに正面から向き合う気持ちを持つことが、一番重要だと思います。
このような精神状態にある人からは、非常識なほどのネガティブな発言がどんどんと発せられがちです。(私も、休職して引きこもっていた時に、そのような状態でした。)
聴いている人のほうが理解できず、受け止めきれなくて、疲弊してしまうことがあります。
けれど、実は話される内容そのもののは、あまり重要ではありません。
本当にわかってほしいことは、
「こんな非常識なネガティブな発言がしたくなるほどに、私は苦しんでいるの!」
というただ一点なのです。
どうしても、周囲の人は発せられた言葉の内容に気を取られて、「そんなことを…」と理解しがたくて否定したり、諭したりしてしまいがちですが、本当の問題はそこではないのです。
本当に伝えたいことは、
「私は、これほどまでに、苦しんでいるの!」
ということなのです。
そこに気付いてほしいのです。
どんなにお嬢さんの要求に対応したとしても、この一番大切な部分に気付かなければ、いつまでも同じことが続くだけです。
一つ一つの要求や行動そのものよりも、
そういう行動に出ざるを得ないほどに、
お嬢さんが、どれほどに苦しんでいるのか
ということに、フォーカスをあてて、お嬢さんをよく見てあげてください。
きっと、大切な解決へのヒントが見えてくると思います。
そして、それができるのは、あなたしかいないのですから。
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まだまだ、質問がありますが、少しずつ回答していきますね。
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